OVERVIEWガングリフォン ~ザ ユーラシアンコンフリクト~詳細解説

『ガングリフォン ~ザ ユーラシアンコンフリクト~』は、ゲームアーツが開発し、1996年3月15日に発売されたセガサターン用3Dロボットシューティングゲームである[1]

シリーズ第1作の本作では、第三次世界大戦の戦いを全8ミッションで描く。2015年2月、北アフリカで始まった戦争は、ロシアがウクライナ再併合へ動くと、戦線をユーラシア大陸へと移した。プレイヤーはHIGH-MACSを駆り、日本外人部隊第501・504機動対戦車中隊の一員としてウクライナからシベリア、モンゴル、中国を転戦する[2]

ゲームシステム

モード構成

第1作のモードは、全8ミッションの「MAIN GAME」と、2ステージの「EXERCISE」に分かれる。MAIN GAMEは第三次世界大戦の推移に沿って戦うキャンペーンで、開始時にはミッション1~4を選べる。この4つをすべてクリアするとミッション5・6が同時に解放され、両方をクリアするとミッション7、さらにミッション7をクリアするとミッション8が現れる。EXERCISEは所要時間を競うタイムアタックであり、ビギナーとエキスパートの2ステージがある。

本作は1人用で、通信対戦は搭載されていない。ゲームアーツの広報担当が説明したところでは、セガサターンの通信仕様が固まる前に本編が処理能力を使い切っており、追加するとゲームの動作速度が低下するため、「泣く泣く削」られたという。また、リプレイ機能も検討されたが、パワーメモリーを使用しても記録容量が足りないために導入が見送られた[3]。対戦ケーブルによる対戦・協力プレイとリプレイは、いずれも『II』で実現した。

オプションでは、EASY、NORMAL、HARDの3段階から難易度を選択でき、難易度を上げると敵の射撃間隔が短くなる。これとは別に、タイトル画面で裏技コマンドを入力すると、敵の攻撃力を高めたり、逆に自機を強くしたりすることができる(詳しくはTIPSページを参照のこと)[4]

基本操作とギミック

画面

『ガングリフォン』のコックピット画面
コックピット画面

プレイ中の視点はコックピットビューに固定されている(任務終了時に挿入される映像でのみ、自機を外から見られる)。画面にはHUD(ヘッドアップディスプレイ)が表示され、照準器、方位計、高度計、ジャンプゲージ、レーダーなどから情報を読み取る。耐久力を示すHPゲージはなく、レーダーパネル外周の色が損傷の程度を表す。通常時は緑だが、ダメージを受けると黄色、赤へと変わり、撃破が迫ると赤く点滅し、また警告音が発せられる。

操作

本作の操作系は、十字キーを移動に使用しない点で特徴的である。前進・停止・後退はXボタンとAボタンで段階的に切り替える。十字キーは機体の旋回、照準の上下(仰俯角)に使う。射撃はRボタンで行うという当時としては珍しい配置を採用している[注 1]

兵装にかかわらず、敵を自動で捕捉するロックオン機能はないため、プレイヤー自身が照準を合わせる。目標が移動している場合には、敵が進む距離を見越して撃つ偏差射撃が必要になる。

自機の基本的な移動手段は、足裏の車輪を使うローラーダッシュである。旋回時は、照準を上か下へ向けると方向転換が速くなり、機体を振り回すような感覚を与えている。上半身は下半身と独立して操作できるので、習熟すれば、進行方向の横を狙って攻撃したり、スライド移動で敵の照準をかわしたりできるようになる。

自機はジャンプして短時間飛行することが可能であり、3回分あるジャンプゲージが満タンなら3回続けてジャンプできる。消費したゲージは時間とともに回復し、移動中より停止中のほうが早く回復する。ふつう戦車などは上面の装甲が薄いため、ゲーム中でも、空中から攻撃を命中させると通常の2倍のダメージを与えられる。したがって、ジャンプを活用することで敵を短時間かつ少ない弾数で撃破できる。

機体と兵装

本作では、プレイヤーの操作できる機体はHIGH-MACSのみである。機種を選んだり、装備や性能をカスタマイズしたりすることはできない。武装もGUN、MG、RP、ATMの4種類で固定され、この4種類を切り替えて戦う。なお、敵ユニットの武装もこのいずれかである。

GUN(戦車砲)

最も基本的な主兵装。単発で射撃する。前半のミッションでは、戦車は1発、AWGSは2発で撃破できるが、後半になると敵の耐久力は上がっていく。

MG(機関砲)

連射型の副兵装。1発あたりの威力は低いが、弾数は無限。連続して射撃するとオーバーヒートし、冷却が終わるまで使用できなくなる。

RP(ロケットポッド)

複数のロケット弾を散布する。直撃ダメージのほか、着弾時の爆風もダメージを与える。威力は高いが、弾薬消費が激しい。

ATM(対戦車ミサイル)

誘導兵器。威力は高いが、搭載弾数が少ない。誘導のためには、発射後も命中するまで目標を照準し続ける必要がある。

特殊な機能・条件

『ガングリフォン』で赤外線暗視装置を使用した画面
赤外線暗視装置使用時の画面

本作ならではの要素として、赤外線暗視装置を使用できる。使用すれば、暗闇や霧で視界が悪いときでも敵機などが浮かび上がって見える反面、画面全体が緑色になり、レーダーやターゲットマーカーの色を区別できなくなるというデメリットがある。

自機の性能は地形やミッションの条件などで低下する。自機は林へ入ると、ローラーダッシュとレーダーが使えなくなる。また、林にいる敵も自機のレーダーでは捉えることができない(なお、画面上の「レーダー」は、設定上は戦場監視機などから受け取った位置情報を表示する戦術モニターである[2])。ミッション5は燃料不足という設定で、補給を受けるまではジャンプができないまま戦闘しなければならない。

本作では敵味方とも、GUNとMGに「ダメージ」ポイントのほか「貫通力」ポイントが設定されている。また、各兵器には防御力となる「AP(装甲ポイント)」が設定されている。GUN・MGが命中すると数値を用いた計算が行われ、装甲を貫通する判定が出たときのみダメージを与えられる[4]。このように弾丸と装甲のシミュレーションがなされ、敵機に射撃を弾かれたり、また自機も敵弾を弾いたりすることがある。

ゲーム内容

ミッションの流れ

『ガングリフォン』の戦況図
ミッション1の戦況図

MAIN GAMEのミッションは、NATO式の兵科記号で描かれた戦況図から始まる。野田圭一のナレーションが戦争全体の状況を説明し、それが終わるとHIGH-MACSのOS起動画面を経て、ブリーフィングで作戦目標が示される。最後に、「るるるるる……」と聞こえる電子音を伴う暗転が入り、画面がコックピットへ切り替わって戦闘開始となる。

戦闘が始まると、初期配置の敵部隊に加えて途中でマップ外から敵部隊が進入してくる。こうした増援の中には、空挺降下してくるAWGSも存在する。また、戦闘に参加せずに戦場を横切るだけのヘリや車両も出現する。

任務終了後のリザルト画面にはスコアと上官の講評が示される。敵を早期かつ近距離で撃破すると得点が高くなり、自機の損傷は減点される[4]。成績が悪いと、コメントは辛辣になる。

本作の進行上重要なポイントとして、すべてのミッションには制限時間があるということが挙げられる。このため、クリアには効率よく移動し、敵機を撃破しなければ時間切れとなる。また、破壊対象や護衛対象のいる任務では、時間経過とともに対象が移動するので、それに応じて自機も立ち回る必要がある。

くわえて、弾薬の補給とダメージの回復を行う補給ヘリも特徴的な要素である。大半のミッションでは、味方のCH-47補給ヘリが飛来し、規定の地点へ着陸する。これに接近すれば、全武装の給弾と修理が同時に行われるのだが、補給ヘリの待つ時間は限られているため、自機の到着が遅れれば補給は利用できない。また、補給ヘリはスケジュールに沿って強行着陸するため、撃墜されることもあるが、その場合は補給の機会が失われてしまうので、適切に護衛しなくてはならない。

このようなゲーム性について、制作を指揮する宮路武は、本作にはアクションだけでなく「シミュレーションの要素もかなり盛り込まれてい」ると説明し、その内容を次のように述べている。

「たんにバリバリ撃って進んでいくだけでは、クリアーはままならない。敵の進路を予測して待ち伏せしたり、補給場所を確保したりと作戦をたてることがとても重要となってくるわけです。さらにゲームの進行に応じて、パラシュート部隊が背後に降下したり、援軍が現われたりと状況も変化してきますから、臨機応変な判断が要求される奥の深いゲームに仕上がってると思いますよ」[5]

各ミッション概要

各ミッションの勝利条件は、敵部隊の撃破に限られず、ミッション3では通過する軍用列車、ミッション8では発射直前の戦略核ミサイルの破壊が目標である。ミッション6では離陸する輸送機、ミッション7では撤退する友軍の護衛任務である。

ミッション1 ハリコフ降下作戦

3月26日、ロシア南方ウクライナ共和国 ハリコフ。ウクライナの平原で、自機が輸送機から空挺降下する演出から始まる。オープニングムービーと接続するミッション。

ミッション2 キエフ市街戦

4月10日、ウクライナ共和国 首都キエフ。PEU軍の攻勢を受けるウクライナの首都市街で、暗闇のなか敵部隊と交戦する。廃墟となった建物が建ち並び、見通しが悪く、移動がしにくくて厄介である。

ミッション3 シベリア鉄道を襲撃せよ!

4月20日、西シベリア低地 ノボシビルスク。濃い霧の中、深い森を通過する列車を待ち伏せして破壊する。敵機が多く、静かな雰囲気とは裏腹にかなり忙しい。

ミッション4「激震!モンゴル機動戦」でジャンプする自機
ミッション4で展開するPEU軍

ミッション4 激震!モンゴル機動戦

5月15日、ウランバートル東南50km。APC・シベリア共同体軍とPEU軍が衝突する大規模な機甲戦に参加する。敵味方ともに多くのユニットが出現するほか、補給ヘリも同時に複数が出現するなど、広い戦場でダイナミックな戦闘が味わえる。

ミッション5 万里の長城攻防戦

5月30日、大同・張家口間 万里の長城。嵐のなか、燃料不足でジャンプできないという不利な状態から戦闘を開始する。開始時点では自機の耐久力も1/3しかない。

ミッション6 アメリカ海兵隊上陸

8月13日、華北平原 連雲港APC軍事基地。飛行場から離陸しようとするC-17輸送機を防衛する。このミッションから対米軍の戦いとなり、大部隊を投入して襲来する相手に苦戦することとなる。

ミッション7 AFTA重包囲網脱出

9月12日、華北平原 山東省濰坊南方80km。撤退する第103機甲師団の車列を防衛する。前ミッションと同じく、高い火力で攻撃してくる米軍を撃破する、難易度の高いミッション。

ミッション8 核ミサイル発射阻止作戦

10月12日、ロシア・ウラル山脈旧戦略ミサイル基地。地下基地内部を進み、自動操縦の敵AWGSを撃破して、戦略核ミサイルが発射される前に破壊する。

物語構成

第1作のキャンペーンモードとなるMAIN GAMEでは、人物の会話などは基本的になく、ミッション冒頭の戦況図とナレーション、ブリーフィングによって物語が進み、APCとPEUの戦争が両陣営とも敗北へ向かう様子が示されている。プレイヤーは第501機動対戦車中隊のHIGH-MACSパイロットとしてウクライナからシベリア、モンゴル、中国の戦場に投入され、ミッション6・7では第504機動対戦車中隊の一員として戦うが、ナレーションでは特に主人公扱いはされていない。また、進行の過程においては、作戦を成功させても、直後のミッションのナレーションでせっかくの勝利が何にもならなかったかのように描かれることがある。戦闘・戦術レベルでの戦果は、戦局をひっくり返すほどの影響を及ぼさない、という姿勢が本作には貫かれている[2]

代表的な登場ユニット

HIGH-MACS

プレイヤーが操作する唯一の機体。日本外人部隊での正式名称は12式装甲歩行戦闘車。最新鋭の第2世代AWGSで、ローラーダッシュやジャンプを駆使して戦う。後半は敵として米軍の同型機・VW-1が登場し、自機や味方を苦しめる。

『ガングリフォン』に登場するヤークトパンター歩行戦闘車
ヤークトパンター(左上は自機の放ったATM)

ヤークトパンター歩行戦闘車

ドイツ軍の最新鋭機。ローラーダッシュで高速移動し、プレイヤーを翻弄する。プレイヤー機のHIGH-MACSと同様にジャンプもでき、上空からばらまかれるRPは脅威である。

13式装甲歩行車

ロシアのBMX歩行戦闘車をコピーした、中国軍の2足歩行AWGS。味方として複数のミッションに登場するが、敵のBMX同様に移動が遅く、攻撃力も貧弱。

CH-47

給弾と修理を担当する、タンデムローターの大型ヘリ。敵味方の攻撃ヘリと比べればはるかに耐久力があるとはいうものの、反撃する手段を持たず、放置しているとあっけなくやられてしまう。

表現・演出

視覚・音響表現

戦場のグラフィックは、天候の良いステージであればゲーム内距離で300メートルの範囲まで描画される。空気遠近法が用いられ、遠方はかすんで表示される。

効果音は音源の方向と距離に応じて定位し、敵がどちらにいるかを音からも判断できる。また、移動する車両や航空機の音にはドップラー効果が加わり、臨場感を高めている。

演出

本作ではミッション1から空挺降下で作戦を開始し、3次元的な機動力を持った機体・部隊であることが強く印象づけられる。(ミッション8の冒頭にも同様の演出があるが、ここではすぐに地下基地内に突入してしまう。)

一部のミッションの冒頭や、ゲームオーバーになったときを除き、味方の通信は入らない(詳しくは第三次世界大戦資料館の「通信記録」を参照)。

自機が被弾して大きなダメージを受けると、機体の向きが強制的にずれ、攻撃の衝撃力を描写している。

敵を撃破した際には、戦車は砲塔が、AWGSは上半身が爆発しながら吹き飛ぶという演出が入る[6]

オープニング・エンディング

『ガングリフォン』のオープニングムービー
オープニングムービー

オープニングとエンディングでは、2本のプリレンダリングCGムービーが流れる。ゲーム起動後のオープニングムービーはミッション1「ハリコフ降下作戦」をモチーフに、HIGH-MACSの活躍を約2分40秒で描いたものである。ムービーではまず、砂漠化したウクライナの穀倉地帯で、日本外人部隊の90式戦車改の部隊がPEU軍のレオパルト3部隊に撃破される。ドイツ戦車兵の「90式はブリキ缶だぜ」という会話の直後、上空のC-17輸送機からHIGH-MACSが突如飛来し、戦車や他のPEU部隊を撃破する、という展開である。エンディングムービーは短く、ミッション8のクリア後に流れて戦争の終結を静かに示してからスタッフロールへ移る。

本作は、セガサターン用ソフトとして初めてムービーカードに対応した[7]。CGムービーは標準のTrueMotion S版と、より高画質なMPEG-1版の両方が収録されている[8]。MPEG-1版を再生するためには、セガサターンでは本体背部へムービーカードを装着し、VサターンではビデオCDオペレーターまたはツインオペレーターを使用する必要があった。MPEGデコーダーを標準装備したハイサターンでは、追加カードは不要である[9]

開発

企画

ゲームアーツは1993年、PC-88版をフルリメイクしたメガCD版『シルフィード』を発売した[10]。本作の企画はその後、年末ごろに始まった。発売後の1996年5月に行われたインタビューで、宮路武は次のように振り返っている。

「かれこれ2年半ぐらい前、『3次元を自由に動き回れる陸上でのシューティングゲームを作ろう』という話がまずあって、それならばロボット物かなというところから始まりました」[11]

企画当初は「セガサターン」という名称も未定で、セガの次世代機で制作することだけが決まっていた。ゲームアーツはそれ以前からポリゴンゲームを制作していたものの、従来機では自由に動き回れる3D空間を実現できていなかった。次世代機の性能を入手したことで、地上を高速移動しながら広い戦場で戦うという企画が具体化した[11][12]

企画は、開発担当者たちの遊びから着想された。岡田厚利によれば、担当者が当時大型筐体でロボットを操縦する対戦ゲーム『バトルテック』やサバイバルゲームに熱中しており、それらに共通する「隠れながら撃つ」感覚をゲームにできないか、という話が出発点になったという。また、林田浩太郎は、企画が進んだ当時は、サターンで画面を高速に動かすこと自体が技術力の提示になったため、新ハードの機能をフルに使う実験的な作品を作ろうという社内の意図もあったと説明している[12]

世界設定

架空の国際情勢や、HIGH-MACSをはじめとするAWGSの設定といった世界設定を一手に担ったのは岡田厚利である。岡田は1994年から企画へ参加し、現実から約20年後を「未来が想像できるギリギリ」の時代と考えて、舞台を2015年に定めた。2015年であれば、冷戦終結後の戦車や航空機を大きく変化させず、ビーム兵器やオーバーテクノロジーにも頼らずに8~10m級のロボットを活躍させられると考えられたからである。この方針のもと、機体のデザインに先立って、国際情勢が組み立てられていった[12]。本作の設定づくりには1年以上が費やされた[5]

宮路は開発中のインタビューで力を入れている点を問われ、「いかにリアルな世界を作りあげるか、ということ」と答えている。その理由については、「ひと口にロボットが主役の3Dシューティングといっても、架空の世界で架空のロボットどうしが戦っても愛着が湧かないと思うんですよ。それで時代を西暦2015年という近未来に設定し、現実にある兵器が登場するようにしたんです」と説明した。これを実現すべく、現用兵器を登場させる際には、資料や演習の映像などを調べて砲塔旋回やサスペンションの動作まで観察した。そのようにして再現した当時の最新兵器を旧式として登場させ、「現時点で最強の兵器を、ロボットに乗ってバリバリ壊していくという痛快さ」を狙っている[5]

メカデザイン

AWGSのデザインは、キャラクター玩具商品の設計などを行う会社であるBEE-CRAFTの山田隆博、阿久津潤一、広部滋が担当した。HIGH-MACSと二脚型AWGSは山田、多脚型AWGSは阿久津がデザインし、広部が歩行パターンを制作した[11]

岡田は後に、AWGSのメカデザインを「頭部センサー複合体」「前面開口部排除」「国を表す機体のデザインライン」「避弾経始」という4原則に整理している[13]

頭部センサー複合体

頭部を人間の顔に見立てず、索敵と攻撃に用いるセンサー群として構成する原則である。岡田は、「デザイナーがいじると顔になる」、「線を増やす」と指摘し、逆にどんどんシンプルにするよう求めた結果、AWGSには角も顔もなくなったと説明している[12][13]

前面開口部排除

被弾率の高い機体前面から、吸気口や搭乗口など防御上の弱点となる開口部をなくす原則である。この方針により、HIGH-MACSは頭部を上方へせり上げ、機体上面から乗り込むという独特の構造となった[11][13]

国を表す機体のデザインライン

機体の外形と装甲表面から開発国を識別できるようにする原則である。各国のAWGSには、その国の現用戦車や工業製品に由来する形状、表面処理、迷彩が与えられた[11][13]

避弾経始(避弾径始)

装甲面を傾けて砲弾をそらし、同じ装甲厚でも射線に対して実質的な厚みを増す、現実の装甲車両でも用いられる原理である。岡田はこの原理をAWGSやHIGH-MACSのデザインにも適用し、正面の装甲をできるだけ斜めに構成した[11][13]

また、AWGSの歩行モーションは特にこだわって作られたポイントのひとつであった。機体の歩幅を想定しながら3Dモデルを使って動きが組まれ、担当した広部はゴリラを観察した映像なども参考にしたという。宮路は、当時のCGアニメでふつうだった脚がムーンウォークのように地面を擦る表現にならないよう心がけたと説明しており、その結果、本作が初めて「しっかり地面を捉えて歩く表現」を実現させたとしている[11]。こうしてアニメーションと移動がかみ合ったアニメーションにより、ゲーム中でもAWGSが足を滑らせて移動する場面は少ない。進路を塞がれたAWGSの動きを観察すると、いったん立ち止まって足の方向を転換するモーションまでわざわざ用意されていることがわかる。

映像・音響

映像面では写実的な表現が目標とされた。宮路は、当時のゲームがいかにもCGらしいCGをありがたがっていたのに対し、ハリウッド映画が「CGをいかにふつうっぽく見せるか」を追求していたことを挙げ、ガングリフォンでは「ポリゴンやテクスチャーを現実っぽく見せることにこだわりたかった」と説明している[5]

本作の制作に当たり、開発チームは陸上自衛隊の富士総合火力演習を見学した。岡田は、「一度でいいから実弾の射撃を見てほしかった。ミリタリーもののゲームを作る上で、体験しないと絶対にわからないこともありますしね」と述べている。これには開発スタッフを含む約20人が参加し、効果音担当者も戦車砲、機関砲、上空を旋回するヘリの音を現地で確認した。宮路は、戦車砲の音を効果音スタッフに「耳で覚えさせ」たことについて、「音が大きすぎて録音不可能なため、こうするしか方法がなかった」と説明している[11]

見学時、戦車砲の発射音が、開けた富士の裾野でも反響するように聞こえたため、そのような響きも効果音に取り入れられている。宮路は、このことを例に、「ガングリフォンの効果音に関しては、相当こだわりを持っていますね。基本的に、本物に近づける方向で作っていますから」と自信を見せている[11]

セガサターン上での実装

先述の通り、「3次元を自由に動き回れる陸上でのシューティングゲーム」という企画は、当初からセガの次世代機が前提とされていた。この次世代機であるセガサターンについて、宮路は開発中のインタビューで「懐の深い、おもしろいハード」と高く評価している。宮路は、「実力があり、なおかつこう作るんだという明確なビジョンがあって初めて100パーセントの力を発揮する。しかも実力さえあれば、どんな方向性に進んでも納得のいく結果を出してくれる可能性の大きなマシンです」と語っている[5]

映像表現では1兵器あたり約450ポリゴン、1画面で最大2500ポリゴンが割り当てられ、光源計算と空気遠近法も導入された。音響面では、本作のために開発したサウンドドライバーにより音源の方向と距離を再現し、移動する音源にはドップラー効果を加えた[8]。こうした実装について、宮路は「このゲームは、ある意味サターンの力を限界まで引き出しています」と豪語している[5]

操作系については、セガサターンのパッドの13ボタンすべてを使用するため、宮路は社内だけでなくセガからも意見を受けたと述べている。しかし、「操作を簡単にしようと思えばできる」が、それでは「やれることが減り、面白味が減ってしまう」と判断し、現状のようになったという[11]。宮路はのちに、『ガングリフォン2公式ガイド エースパイロットナビゲーター』でプレイヤーに向けたメッセージのなかで、第1作には操作系を含む初めての試みが多く、制作意図がプレイヤーへ伝わるか不安だったと振り返っている[14]

CGムービー

オープニング・エンディングのCGムービーは、富士ゼロックスのデジタル複合機「Able」の広告でドラえもんをCG化するなど、CMや博覧会向けの映像を手がけていたCGプロダクションのリンクスが制作を担当した[15]。ゲームアーツから映像化のみならずストーリー展開の考案も依頼されたリンクスは、海亀事務所の林弘幸をディレクターに迎え、共同でストーリー、構成、絵コンテを作成した。企画から完成までは約5か月を要し、制作には総勢11人が参加した[16]

爆発や戦車が巻き上げる砂塵の表現には特に力が注がれ、そのために新しいソフトウェアも導入された。HIGH-MACSのアニメーションを一人で担当した西井育生は、ムービーとゲーム本編で機体の動きを一致させることを目指した。倉澤幹隆は「プレイヤーがゲームに熟練してくると、オープニングのような動きを実際にプレイできるようになっていきます」と説明し、西井も、プレイ中にオープニングを思い浮かべられる映像にしたかったと述べている[16]。同時に、戦車戦の絵コンテでは「現地にいる報道カメラマンが、極力撮影が可能な構図・アングル」を目指し、リアリティを高めている[17]

発売

発売前の初報

本作が雑誌で初めて報じられたのは、『週刊ファミコン通信』1995年6月16日号の記事「緊急速報① サターンの3Dポリゴンロボット発進」である。掲載タイトルは『3Dポリゴン(仮題)』で、「'95年発売予定」とされた。同記事のインタビューで、宮路武はHIGH-MACSの戦闘について、「ロボットは、アニメの『ガンダム』とか『ボトムズ』とかをイメージしてもらうといいんですが、いわゆる二足歩行型の機動兵器という扱いになってまして、ダッシュ、ジャンプ、ホバーリングというアクションが可能」「疾走する敵戦車の後ろに回り込んで、飛んでくる弾を避けつつ攻撃するなどといったスリリングなプレーが楽しめる」と表現している[5]

発売前の期待作ランキング

『週刊ファミコン通信』の期待作ランキングには、1995年7月7日号で「3Dポリゴン(仮題)」として初めて入り、15位・94ポイントを記録した。その後は報道がなかったためブランクが空き、1996年2月に正式タイトルで再登場してから発売直前までは次のように推移した[18]

掲載号順位ポイント
1995年7月7日号15位94
1996年2月23日号26位272
1996年3月1日号20位335
1996年3月8日号17位307
1996年3月15日号23位256
1996年3月22日号17位418

発売後の動向

本作は1996年3月15日に発売され、価格は5,800円(税抜)だった[1]。売上は4か月で約19万本にのぼる大ヒットとなった[19]

発売時期には15秒のテレビCMが放映された。オープニングムービーとゲーム映像に合わせ、叫ぶような口調のナレーションが「撃つ快感」「走る快感」「跳ぶ快感」と三つのアピールポイントを提示している[注 2]

『週刊ファミ通』の売上ランキングでは、1996年4月19日号で7位に入り、その後は20位台で推移した(下表中の数値は『ファミ通』独自の指数で、販売本数そのものではない)[20]

掲載号順位誌面掲載値
1996年4月19日号7位5,911
1996年4月26日号26位2,791
1996年5月3日号27位1,491
1996年5月10・17日合併号23位1,381
1996年5月24日号26位1,031
1996年6月7日号29位756

『テレビゲームランキングデータブック1995.9~1998.8』の月別集計では、発売初月の1996年3月に131,342本を売り上げ、4月は34,138本で25位、5月は14,425本で50位、6月は7,841本で91位となった。6月時点の累計は187,746本である。同書が対象とする期間中の売り上げ順に並べた「シューティングゲームランキングベスト30」では、『機動戦士ガンダム外伝I 戦慄のブルー』『同II 蒼を受け継ぐ者』にはさまれて13位にランクインしている[19]

発売から約2年後の1998年3月12日には、セガが「名作たちの逆襲」と銘打った再発売シリーズ「サタコレ」のラインナップに加わり、2,800円(税抜)で販売された[1][21]

北米・欧州版

北米版は1996年6月19日にセガから発売された(製品番号81046)。レーティングはESRBの「Teen」とされた。欧州では同じくセガからPAL版が1996年に発売された(製品番号MK81046-50)[22]。ゲームアーツの会社資料では、第1作の展開地域を日本、北米、欧州、アジアとしている[23]

海外版では世界設定に大きな変更が加えられ、時代設定は2074年とされた。プレイヤーの所属はUAC(United American Countries=アメリカ諸国連合)外人部隊の第45機甲師団となり、中国・日本を相手に戦うという構図に改変された[24]。このため、現実の現用兵器を再現したゲーム中のユニットは、海外版では時代・所属ともに全く整合しておらず、開発者の意図を完全に損ねている。また、ゲーム内の戦況図では日本語ナレーションと地図上の部隊名が削除され、英語の戦況説明が表示されるようになっているが、兵科記号の脇には「501」など日本版の部隊番号が消されずに残っている[注 3]

『Electronic Gaming Monthly』(EGM)1996年8月号は、セガ・オブ・アメリカのプロデューサー、Greg Becksted[25]にインタビューしている。Beckstedはストーリーについて、「より米国市場に合うように日本版からわずかに変更した」と説明した。また、既存のメカゲームと異なり自機の動きが速いのはなぜかという質問に対し、Beckstedは、「反応が速いことで、よりアーケードゲーム的な感触が得られる」と答えている(引用はいずれも日本語訳)[26]

『ガングリフォン ブレイズ』北米版のローカライズ(英語翻訳、無線音声の再収録、ボタン配置の修正)を担当したWorking Designsは、同作の取扱説明書に設けた「TRANSLATION NOTES」で、第1作の北米展開を回顧している。北米版を引き受けたファーストパーティーのパブリッシャー(セガ・オブ・アメリカと思われる)について、作品をまるで理解していないうえに販売もお粗末で「このゲームを目にしたのは五人ほどにすぎなかった」と皮肉っている。さらに、パブリッシャーは作品名を『Iron Rain』へ変更しようとしていた(実際に、北米のゲーム誌ではこのタイトルの記事が存在する)が、Working Designsは、同パブリッシャーの日本の親会社(セガと思われる)にいた知人へ連絡し、『Gungriffon』の名を残すよう説得した。その働きかけが功を奏し、『Iron Rain』より「よっぽどクールな」作品名は維持されたという[27]

評価

国内での評価

ファミ通

『週刊ファミ通』1996年3月22日号のクロスレビューでは、浜村通信、羽田隆之、渡辺美紀が10点満点中各8点、ローリング内沢が7点を付け、合計31点となった。同号で採点された21作品中、31点は単独最高点であった。全21作品の平均は約24.4点、中央値は24点で、本作は平均を6.6点上回っている。[28]

  • 浜村通信は、煙や雪を含むCG表現、操作の専門性、失敗時に自分の操縦を原因として理解できる作りを、「メカフェチが泣いて喜びそうなリアル性。やられれば、自分の運転が悪いと納得ができる造り」と称賛した。「Best Picks of This Week」でも本作に言及し、「『ガンダムに乗っているみたいな~』なんて売り文句のソフト、いままでにもあったけど、こと家庭用に限れば、完成度はコレが一番」と述べている。
  • 羽田隆之は、全ボタンを使う操作とステージごとに変わる環境を長所として挙げ、「心踊らされる要素ばかり」と称賛した。
  • 渡辺美紀は、「操作系は一見とっつき悪そうだがやってみるとそうでもない。この難しさを手応えアリと感じる人は超楽しめるハズ」と、難しさを手応えとして受け止める読者に強く薦めた。
  • ローリング内沢は戦略性、動き、射撃部分を評価する一方、「操作が複雑で、その部分で敷居が高くソンをしているかも。慣れるまでに時間を要する」と問題点を挙げた。

サターン専門誌

『セガサターンマガジン』1996年3月22日号の発売前レビューでは、3人の評者が10点満点中それぞれ9点、8点、7点を付けた。オープニングや雪原・夜間市街地などのグラフィック、効果音、ローラーダッシュや跳躍を組み合わせる操縦感、繰り返し遊べる手応えが評価された。一方で、全8ミッションという分量、本編画面の平板さ、戦場の狭さ、物語や会話の乏しさを物足りない点として挙げる評者もおり、操作についても「理にかなっている」という評価と習得の難しさを指摘する見方に分かれた[7]

その他の雑誌

『ゲーム批評』では、ゲームプロデューサーの椎野竜彦が、本作は設定資料に説明を預けるのではなく、「スイッチを入れてからのゲーム自身に語らせるというスタンス」で架空の戦場に現実感を与えたと称賛した。その現実感を支える具体例として、撃破された戦車の砲塔やロボットの上半身が飛ぶ表現、破片、効果音、画面の揺れを挙げている。こうした「ほんの小さな演出の積み重ね」が、攻撃の爽快感と戦場らしさを生むという評価だった。もっとも、椎野は難易度と攻略の幅には厳しい目を向けている。「イージーモードからして激辛」であり、ミッション6では数え切れないほど失敗して「ショックで3日ほどパッドを置いた」という。しかし、操作に習熟して敵の動きを覚えると難度は急に下がり、補給ヘリの周囲からATMとRPで敵を迎撃する戦法が多くのミッションに通用したとも述べた。そのため、地形を利用して敵の裏をかくような戦略性に乏しく、「ゲーム展開が大味」だと批判している。それでも最終的には、「このガングリフォンが現在最高レベルの完成度であることは間違いない」と結論づけた[6]

多摩豊は、SF専門誌『SFマガジン』で、本作を「覚悟とこだわり」のあるゲームだとして評価した。操作については「シミュレータの割に操作は簡単」とし、慣れれば上半身の旋回や跳躍といった高度な動きも使えると説明している。多摩が特に高く評価したのは、二足歩行メカを「無敵の新兵器」とせず、長所と短所を備えた一兵器として、戦車やヘリコプターと同じ戦場へ置いたことである。地面の起伏や樹木も戦術に関わるため、「ただ単にロボット同士が撃ち合いを演ずるのではなく、さまざまな状況の入り交じる“戦場”」になっていると述べた。反面、こうした作り込みが「マニアックな雰囲気」を生み、低年齢層には敬遠されかねないとも見ている[29]

難易度について

本作の難しさは発売前後に繰り返し指摘されたが、これは主に操作と攻略という二つの面に分けられる。まず操作については、既に見たように内沢と椎野が習熟の難しさを指摘している。一方、多摩は「簡単」と明言していたほか、浜村、羽田、渡辺は多ボタン操作を操縦感や手応えにつながる長所と捉えている。これらを要するに、発売前の記事が「ちょっと難しめの操作系だけど、慣れればラジコン感覚で動かせる」としていたことが簡潔なまとめとなっていよう[30]。もう一つの難しさはミッションそのものの難しさであり、前記の椎野のほか、発売後の『週刊ファミ通』でも本作を「比較的難易度が高めのゲーム」と評している[3]

海外での評価

以下の百分率は、100%を満点とする得点である。

北米

北米で本作を取り上げた4誌はいずれも、セガ専門誌ではなく総合ゲーム雑誌である。3誌は本作に高いスコアを与えている。

Electronic Gaming Monthly(EGM)

EGMは業界ニュースや噂にも力を入れた月刊総合誌である[31]。同誌のクロスレビュー「Review Crew」(10点満点)では、4人の評点が8.0、8.5、8.5、8.0で、合計33点、平均8.25点となり、「Game of the Month」に選ばれている。分野別の評価は、ビジュアル7.5、サウンド7.5、創意工夫7.5、リプレイ性7.0だった。複数の評者は、建物に機体が引っ掛かりやすいことを問題視したが、操作の反応、鮮明でリアルなグラフィック、戦闘のスピード感が長所として挙げられた。特にDan Hsuは、PC作品を含めて、自身が遊んだ中で最も刺激的なメカ・シミュレーションだと絶賛している。別掲の記事では、本作の難易度は「Hard」に分類されている[32]

GameFan

『GameFan』は輸入ゲームやRPGなど愛好家向けの話題を重視するゲーム誌である[33]。同誌第4巻第5号では、クロスレビュー「VIEWPOINT」で3人のレビュアーが100点満点中それぞれ95点、93点、90点の高得点を付けた。すべてのボタンを使う操作系は慣れを要するものの精密な操作で奥が深い点や、3D表現、オリジナリティ、敵AIの優秀さ、変化に富む任務・天候・地形が高く評価された。ミッション数が少なく全体は短いが何度も遊び直せる内容であり、レビュアーの一人は「最高のメカ・シミュレーター」だと絶賛している。別掲のプレビュー記事でも、操作、レベルデザイン、機体の感触を特に称賛し、「最も革新的で、最もよく考えられたメカゲーム」と評した[34]

同誌の年間企画「The 5th Annual GameFan Megawards」では、本作が1996年の「Simulation Game of the Year」に選ばれた。10人の選者のうち5人が本作を同部門の1位、3人が次点に挙げている[35]

GamePro

『GamePro』は1999年時点で読者の6割を17歳以下が占め、米国最大の発行部数を持つゲーム誌だった[36]。同誌1996年9月号はレビューで、操作4.0、グラフィック4.0、楽しさ4.5、サウンド4.5を付けた(各5点満点)。飛行を含めた操作、鮮明なグラフィック、爆発音と砲声、そして空中から敵を撃破する爽快感を評価した。欠点として、自機が振り向くのが遅いこと、コックピット視点しかないこと、敵の警報音が煩わしいことを挙げているが、同ジャンルで最も楽しめるセガサターン作品の一つと評している[37]

Next Generation

『Next Generation』は個別作品より業界ニュースと動向に比重を置く、成人読者向けのゲーム雑誌という位置づけである[38]。1997年1月号の短評は5つ星中3つ星どまりであった。多彩な任務と奇抜な武器があり、グラフィックと操作性も良好であるとした一方、ボリューム不足とテンポの悪さを減点理由とし、それがなければ4つ星だったと評している[39]

Los Angeles Times

有名紙LAタイムズのゲーム批評欄でも本作は取り上げられ、機体移動と武装操作の習得には練習が必要で、当初は操作ミスが重なって楽しめなかったとされている。それでも、ミッションが豊富でリアリティがあると称賛し、照準や機体情報を視界の妨げにならないよう表示するHUDも長所として挙げている[40]

イギリス

イギリスでは、セガ専門誌2誌と総合ゲーム誌3誌が本作を取り上げた。評価は分かれ、セガ専門誌2誌と『Maximum』は高得点を付けた一方、『Edge』と『Computer and Video Games』は中程度の得点にとどまった。

Mean Machines Sega

『Mean Machines Sega』はセガの各機種を扱う専門誌である[41]。同誌第44号は記事の評価で100点満点中88点を付け、「非常に洗練された作品」と総括した。操作を覚えると機体の動きが滑らかに感じられ、戦闘のテンポが途切れず、中毒性も高いと評価する一方、ゲーム本編のグラフィックはオープニングから期待されるほどではなく、ミッションでは同じ展開が繰り返されると指摘している[42]

Official Sega Saturn Magazine

『Official Sega Saturn Magazine』はサターン専門のセガ・ヨーロッパ公式誌である[43]。1996年7月号のレビュー記事は本作に88点を付け、滑らかで説得力のあるアニメーション、地形・難度・戦術・ライティングの異なるミッション、増援の入電や敵の奇襲による臨場感を長所に挙げた。スピード感では『パンツァードラグーン ツヴァイ』に及ばないとしつつ、戦術的な位置取りを含むプレイの奥行きを評価し、「史上最高の巨大ロボットゲームの一つ」と評している[44]

Edge

『Edge』は批評や業界動向を重視した総合ゲーム誌である[45]。同誌1996年6月号は、10点満点中5点と厳しい評価をつけた。変化のある景観、起伏に富む地形、敵兵器の種類、滑らかな動きを評価した一方で、大半のミッションは画面が暗く濁って見づらく、爆発表現や近距離の描写も粗いと批判した。また、制限された戦闘区域で多数の敵を時間内に順番に撃破するため、同じような戦闘の繰り返しになり、ミッションごとの差が損なわれていると論じている[46]

Computer and Video Games

『Computer and Video Games』はニュース、プレビュー、レビュー、攻略情報に加えてアーケードゲームも扱い、英国ゲーム誌の型を築いた草分け的な総合誌である[45]。評価は5点満点中3点で、オープニングに比べて本編の見た目は見劣りし、ステージの変化にも乏しいとした。ただし、難度の高いミッションを終えたときの満足感とサウンドトラックによる雰囲気は評価し、「同じことの繰り返しがやや多い」としながらも、歯応えのある楽しい作品だとまとめている[47]

Maximum

『Maximum』は主要作品について詳細で厳密な記事を掲載し、豊富なスクリーンショットを特色とした総合ゲーム誌である[45]。同誌1996年6月号は、本作に5つ星中4つ星を付けた。前半4ミッションから後半4ミッションへ難度が大きく上がる構成、レーダーを遮る森林や丘、敵兵器のポリゴンモデル、霧・夜間・地下など変化に富む環境を評価している。一方、敵の出現時刻と場所が固定されているため攻略が暗記になりやすく、全8ミッションと短いうえに最終ミッションが意外に簡単で、繰り返し遊ぶ余地と終盤の盛り上がりを損ねていると指摘した。それでも、当時のセガサターンでは競合がほぼない、楽しめるシューティング作品だとして購入を薦めている[48]

フランス

フランスでは代表的な家庭用ゲーム機専門誌3媒体が本作をレビューし、いずれも高得点を付けている。

Consoles +

『Consoles +』は1991年創刊で、1990年代半ばに約8万部を売る市場首位の雑誌であった[49]。同誌第57号は本作に91%という高いスコアを付け、分野別にはグラフィック93%、アニメーション92%、操作性93%だった(100%が満点)。任務ごとに状況が変わり、味方機が自律して戦うなかでレーダーを頼りに立ち回る構成を長所とし、難しい任務でも、どうしてもクリアしたくなって何度もやり直すと評した。一方、ボリューム面での評価は84%にとどまった。ジャンル自体は古典的だが、堅実な作りによってメカを操縦する魅力を引き出した作品だとまとめている[50]

Joypad

『Joypad』は1991年創刊で業界二番手となった雑誌である[51]。1996年5月号の別冊『Joypad International』は90%の高評価を付け、20点満点で操作性を18点、グラフィックとアニメーションを各16点、効果音を15点とした。「現実味のあるポストアポカリプス的な雰囲気」を描いていることと戦闘のプレイしやすさを評価し、アクションとシミュレーションを兼ねる作品として薦めている。欠点として、常に同じ機体を使うこと、赤外線暗視装置の見づらさ、全体の短さを挙げた[52]

Player One

『Player One』は1990年に欧州初の家庭用ゲーム機専門誌として創刊され、市場を切り開いた先発の媒体である[53]。同誌1996年9月号は、本作に100点満点中92点を付けた。映像面は成功しているものの際立って印象的ではないとしながら、8個のボタンを無駄なく使う操作は30分ほどで慣れ、やがて機体が「第二の皮膚」のように感じられるとして、操作性を最大の長所に挙げている。護衛・防衛ミッションでは、レーダーで敵の位置を確認し、敵の増援などを知らせる入電にも注意を払いながら、その動きを予測する必要があることも評価した。しかし、通信対戦に対応していないうえ、全8ミッションと短く、スコアアタックなどをしない限りは長く遊び続けにくいことを短所として指摘した。その一方で、「PLAYER FUN(遊ぶ楽しさ)」と「操作性」にはそれぞれ97点を付け、評者自身はクリア後もなお楽しんでいると記している[54]

オープニングムービーの評価

オープニングムービーは発売当時から高く評価された。『セガサターンマガジン』1996年3月22日号では、評者の一人が「なにしろオープニングの素晴らしさに目を見張る」「これだけでもこのゲームを買う価値があると思う」と述べ、別の評者も「オープニングは相当カッコイイ」と評した[7]

『Mean Machines Sega』の評者2人も、それぞれ「見事なイントロ」「並外れたイントロ映像」と評している[42]

『Computer and Video Games』は、記事で「イントロがあまりに素晴らしく、ゲーム本編が不要になるほど」と記し、評者も「サターンで見たなかでも最高のイントロの一つ」と絶賛した[47]

『ゲーム批評』の寄稿で椎野竜彦は、「キャタピラー一枚一枚の重さ、砂漠のほこりっぽさ」にまで現実感があると述べ、「ゲームの世界にユーザーを引き込む為のオープニングムービーとしては素晴らしい出来だ」と賛辞を送っている[6]

評価は後年まで続き、2000年にGameSpotが掲載した『ガングリフォンII』評では、第1作のオープニングが当時のゲームで最良級のものだったとされ、『II』に同種のCGムービーがないことが欠点として挙げられている[55]

後年の評価

『ゲーム批評』1998年9月号(Vol.22)で同誌編集部が選定した「サターンベストゲーム100」では、本作がシューティング部門の第9位に選ばれた[56]

2020年、石動竜仁(dragoner)は文春オンラインの記事で、オープニングムービーとミッション1「ハリコフ降下作戦」を取り上げ、演出の衝撃に言及し、またCH-47による補給とその補給ヘリが撃墜されうる仕組みを、「様々な「らしさ」とゲームとしての面白さを、高いレベルで両立させたところにこの作品の妙がある」と高く評価した。また、作中のロシアによるウクライナ再併合と現実の2014年クリミア併合、AFTAの孤立主義と2013年のオバマ米大統領による「世界の警察官」放棄などを対照させ、1990年代に作られた設定が後年の出来事と部分的に重なったと論じている。一方、深刻な食糧・エネルギー危機や人型兵器の実用化は現実にならなかったとも記した。さらに石動は、どんなにプレイヤーが頑張っても戦争そのものは敗北するという「冷徹な世界観」がある一方で、最終ミッションだけは核攻撃を阻止する役割が一機へ託されていることについて、「戦争の帰趨がたった1機に委ねられるシチュエーションが世界観に破綻を来さない形で用意されて」いることを評価している[57]

2021年にねとらぼ調査隊が実施した「あなたが思うセガサターンの名作ソフト」の自由回答アンケートでは、624件のコメントを集計した結果、『ガングリフォン』が第4位となった。同記事は、現代から連続する戦場設定、兵器としてのHIGH-MACS、ミリタリー知識に基づく設定を作品の特徴として挙げている[58]

制作スタッフ

ゲーム本編のクレジットに記載されたスタッフは次のとおりである[59]

Director

 宮路 武

Main Programmer

 浜田憲一

Sub Programmer

 金井秀樹
 増渕利道
 小山洋幸

Game Data Making

 原田 修  浜田憲一  >庭野健一

Model Animator

 原田 修  金井秀樹

Visual Coordinator

 高橋秀信

Texture Drawing

 迫 章久  里 大樹  横川憲太郎

Background Designer

 迫 章久  横川憲太郎

Special Effect Making

 里 大樹

Visual Designer

 安住政敏

Visual Design Assistant

 迫 章久

Sound System Programmer

 上条 有

Sound Effect Programmer

 松田明男

Sound Treatments & Strategies

 西 隆宏

TrueMotion S Data Making

 増渕利道

Situational Designer

 岡田厚利

A.W.G.S. Design

BEE-CRAFT
 山田隆博  阿久津潤一  広部 滋

3D Modeling

 柳川 渉

Opening & Ending CG

株式会社リンクス
 倉澤幹隆
 平野善久  西井育生  竹中隆弘
 斎藤紀生  大谷 謙  名越輝幸
 斎藤 香  江崎達也  田中将史
海亀事務所
 林 弘幸
イクイティ エンタテインメント
 鈴木慎二

All Songs Composed & Arranged

 武内基朗

Recording & Mixing Engineer

 小林 敦

Manipulator

 小西輝男

Sound Production

TWO FIVE
 溝口 功  高野 聡

Narration Recording

ユーメックススタジオ
 猪股一彦  加園 稔

Narrator

 野田圭一

Marking Design

㈲戦船

Data Research

 長村琢哉  柏木 朗  早川真吾

Special Thanks for

 須永有三  柏木 朗  吉田聡士
 大畑和幸  岡野崇宏  加藤孝視
 池谷昌彦  松田充弘

Sales

 岡部利香  菅谷由美  小川陽平

Producer

 内田敏幸

Executive Producer

 宮路洋一

Presented By

GAME ARTS

脚注

注釈

  1. ^ 同時期に発売された『機動戦士ガンダム外伝I 戦慄のブルー』(1996年)はBボタン、『アーマード・コア』(1997年)は□ボタンを射撃に用いていた。
  2. ^ CM映像は、YouTube動画「ガングリフォン 関連CM集 1996 - 2000年」(GCMC:ゲームCMコレクター)などで確認できる(2026年8月22日閲覧)。
  3. ^ 北米版の戦況図は、YouTube動画「GunGriffon: The Eurasian Conflict (Saturn) Playthrough」(NintendoComplete)などで確認できる(2026年8月22日閲覧)。

出典

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  4. ^ a b c 『ガングリフォンハイパーガイドブック』光栄、1996年。
  5. ^ a b c d e f g 『週刊ファミコン通信』アスキー、1995年6月16日号、18~20頁「緊急速報① サターンの3Dポリゴンロボット発進」。宮路武インタビューは20頁「INTERVIEW ポリゴン職人を直撃!! そのこだわりとサターンへの愛情」。
  6. ^ a b c 『ゲーム批評』マイクロデザイン出版局、1996年7月号(Vol.9)、102~103頁、椎野竜彦「GUNGRIFFON こだわりのロボットゲームが見せる一つの理想形」。
  7. ^ a b c 『セガサターンマガジン』ソフトバンク出版事業部、1996年3月22日号(Vol.5)、223頁「セガサターンソフトレビュー」。
  8. ^ a b 『週刊ファミ通』アスキー、1996年3月29日号、発売時見開き広告。
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  13. ^ a b c d e 『セガサターンマガジン』ソフトバンク出版事業部、連載「日本外人部隊広報課分室」第1~7回掲載「ガングリII スタッフ入れ込みコラム」。掲載号は1998年3月27日号(Vol.9)、4月3日号(Vol.10)、4月10・17日号(Vol.11)、4月24日号(Vol.12)、5月1日号(Vol.13)、5月8・15日号(Vol.14)、5月22日号(Vol.15)。執筆者は順に浜田憲一、宮路武、庭野健一、原田修、小川陽平、岡田厚利、須永有三。
  14. ^ 『ガングリフォン2公式ガイド エースパイロットナビゲーター』アスキー発行・アスペクト発売、1998年、140頁、宮路武「監督からのメッセージ」。
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  16. ^ a b 『ガングリフォンコンプリートファイル』光栄、1996年、「GUNGRIFFON WORLD」所収、127~128頁「SPECIAL INTERVIEW[II]OP・CGムービー制作スタッフ CG制作の雄・LINKSが送る迫真の映像」、倉澤幹隆・西井育生インタビュー。
  17. ^ 『ガングリフォンコンプリートファイル』光栄、1996年、「GUNGRIFFON WORLD」所収、120~123頁「オープニングムービー絵コンテ集」。
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  20. ^ 『週刊ファミ通』アスキー、売上ランキング(1996年4月19日号、4月26日号、5月3日号、5月10・17日合併号、5月24日号、6月7日号)。
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参考文献

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  • 『週刊ファミコン通信』アスキー、1995年6月16日号、18~20頁「緊急速報① サターンの3Dポリゴンロボット発進」(20頁「INTERVIEW ポリゴン職人を直撃!! そのこだわりとサターンへの愛情」)。
  • 『セガサターンマガジン』ソフトバンク出版事業部、1998年3月27日号(Vol.9)~5月22日号(Vol.15)、連載「日本外人部隊広報課分室」内「ガングリII スタッフ入れ込みコラム」第1~7回。