ガングリフォンアライドストライクデブリーフィングルーム

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メイン画面

 戦闘画面における計器の配置は合理性の欠片も感じられない。特にコクピット視点でその傾向は顕著に現れ、しかも縦横に巡らされた無意味な線が視認性を妨げるというおまけまで付いてくる。詳細を以下に述べるが、予め断っておくと、戦闘画面の見にくさが楽しさ・面白さを生んでいるとは全く思わない。

 武装・照準回りのレイアウトを見ると、レティクルの左下に残弾倉数表示と残弾数ゲージ、右下に次弾装填状況ゲージ、下に残弾数、その下に武装一覧といった具合であり、正直わけが解らない。こんな配置では直感的な理解を得られる筈もなく、ガングリフォンブレイズの方がましだったような気すらしてくる。また、全武装の残弾数が一目で判るサターン版に対し、アライドストライクでは選択している武装のものしか見られないが、言うまでもなく非常に不便である。

 画面左上にはDLSのオン・オフを表すという存在意義の感じられない表示があるし、上部に目をやればやたら巨大なミッションクロックが鎮座し、その近くでは方位計が仰俯角次第で出たり消えたり、理解に苦しむ。
 また、上部には上半身と下半身の方向関係を示す計器も置かれている。そもそも目立っていないので困るのだが、しかも何故か「車体に対して砲塔がどちらを向いているか」を表している為、状況を即座に読み取ることは難しく、先に述べたような操作の不自由を誘発している。その逆の「砲塔に対して車体がどちらを向いているか」ならまだ良かったのに…。

 最も不可解なのは画面右側に並ぶ各種の表示であろう。各部位の耐久力ゲージと総耐久力ゲージが別系統に存在する配置は、最早完全に理解を超えている。総耐久力を大きく表示して、そのすぐ脇に各部の耐久力ゲージを配した方が、ずっと見やすいし理に適っていると、少なくとも私はそう思う。

 計器のフォントが変にスタイリッシュで可読性に欠け、これまた困りものである。プロポーショナルフォントが用いられている所為で、数値が変わる度にガタガタ動いて実にみっともない。どうして等福フォントを採用しなかったのか想像もつかない。
 更に、致命的な欠陥として、文字に縁取りがなされていない所為で、背景によっては表示が完全に読めなくなってしまうこともある。

 兵器としての臨場感とゲームとしての実用性を兼ね備えた初代ガングリフォン、雰囲気を失いながらも確実に合理性の向上したガングリフォン2、(ブレイズは脇に置こう)――今回のコクピットはそのどちらにも到達できていない。

後方視点

 さて、アライドストライクで新たに追加された後方視点は、コクピット視点と比べると情報がすっきりと表示されていて見やすい。視界が広がり状況の把握が容易であると同時に、自機の挙動も確認しながらプレイできるので、コクピット視点より楽だとの見方もあるだろう。
 ただ、後方視点自体を否定する気はないが、そちらの方が遊びやすいとなると、やはりガングリフォンとしては終わっていると言わざるを得まい。

IFF・マーカーとレーダー

 かなり真剣に腹が立つのがIFF:敵味方識別装置である。何と言っても理不尽なまでに感度が悪い。目の前の敵機、否、友軍機にすらマーカーが表示されないことも間々あり、存在意義をほぼ喪失している。マーカーが出ない遠くの敵機を捕捉するのは容易ではなく、従って弾を精確に撃ち込むことも困難なわけだが、その割に敵機は遠距離からでも精度の高い射撃をしてくるので鬱陶しいことこの上ない。

 更に頭に来ることには、ロックオンはマーカーが表示されて初めて可能になる為、ミサイルが殆ど使い物にならない。ところが敵のミサイルは遥か彼方から飛んできて自機を削ってゆくのだから、これを理不尽と言わずして何と言おうか。

 もしこれが、目標が地形や障害物の向こうにいるなどの条件付きでマーカーが出なくなるシステムであったならば、ここまで理不尽に感じずともに済んだのだろうが、肉眼でも確認できるような敵機にマーカーが付かないのは苛立たしいし、納得しかねる。

 マーカーは、その色もあまり感心できない。友軍機が緑なのはこれまで通りであるものの、敵機はおしなべて赤い枠で囲まれるよう改められ、黄色い枠は消滅した。では(自機を)攻撃中の敵機がどう表示されるかというと、赤枠が派手に点滅するのであるが、瞬間的な理解には向いているとは言い難い。サターン版の優れたシステムを捨ててしまった理由を教えて欲しい。
 それと、攻撃目標と防御目標に同じ青色が当てられており、攻撃・防御目標が同時に出現するミッションが存在しないとはいえ、やはり判りづらく一瞬焦ることがある。敵と味方に同色を割り振って何がしたいのかと疑問に思わざるを得ないけれども、それ以前の問題として青色自体の視認性が低く、快適なプレイを妨げる結果になっている。
 最後に、ユニットの名前と距離がマーカーに併記されるようになった点については、文字が大きいのでちょっとうるさい感じはすれど、概ね評価できる。

 さて続いてレーダーだが、サターン版における“レーダー画面”が戦場全体の敵機を表示していたのに対し、アライドストライクの情報表示モニター(所謂“レーダー画面”)は、レーダー圏内に存在する敵機のみ確認できる仕様に変更されている。その為索敵を行う必要があり、これはこれで面白いと思う。
 だが肝腎のレーダー捜索範囲が狭いのは否めないところであろう。一応、自機周辺の概況を把握できる程度の性能があるとは言え、困った事態も発生する。「どの方向から攻撃を受けたか」が表示されたサターン版と異なり、アライドストライクで判るのは「どの敵から攻撃を受けたか」である為、レーダー圏外から攻撃を受けた場合、その敵の方向を“レーダー”で知ることはできない。つまり、中距離以上からの攻撃で被弾しても、どこに向かって応射すべきなのかは瞬時に判断できないわけで、若干ストレスを感じる。

 その他に気づいた点としては、コクピット視点だと“レーダー”が何故か傾斜して配置されており、方向が非常に判りにくい。素直にまっすぐ“レーダー”を置くか、傾いたままでも格子線を被せるなど少し工夫すれば解決できるのだが、放置されているのは理解に苦しい。
 もう一つ、自機を示す白い矢印が、車体の向きではなく照準している方向を表しており、状況の把握を容易ならざるものとしている。可視範囲を示す扇形がある(コクピット画面の場合)のだから、矢印と車体の向きを同じにした方が見やすいだろうに、それを避けた理由は私には想像できない。
 あとは、サターン版と異なり機体の向きが矢印として表示されること、やはりサターン版と異なり航空機の光点が明滅しないことも変更点として挙げられる。一概に良し悪しは論じられないが、後者は不親切になったとの印象が強い。

 ところで、旧作同様アライドストライクにもDLS:データリンクシステムという単語が出てくる。しかし今回、データがリンクされている気配はなく、「友軍機のレーダー圏内にいる敵機の情報が自機にも送られてくる」とか「友軍機が捕捉している敵機は距離を無視してマーカーが表示される」といった気の利いたシステムは存在しない。もしそのような仕組みが採用されていれば、レーダー感度の良い車両を索敵機として活用できたり、超遠距離からのミサイルによる支援攻撃が可能になるなど、戦術を広げたことは間違いないと思うのだが…誠に残念と言うしかない。

作戦マップ

 今回の作戦マップの仕様は高く評価したい。

 サターン版のマップはゲームを一時停止しないと見られなかったが、アライドストライクではマップを開いても状況の進行は止まらず、ゲームを快速・軽快なものとしている。「操縦しつつマップを見る」操作はガングリフォンの迅速なゲーム性と善く馴染んでおり、非常に好感が持てる。

 贅沢を言えば、サターン版のように敵の増援位置をマップで確認できれば最高だったのだが、それがないのはやや残念である。また、例えばコクピットを煩雑にしている一部の計器をこの画面で表示させるなど、まだまだ幅広く活用できそうなポテンシャルを持っているものの、機能がマップだけに留まっているのは実に惜しいと思う。

余談

(注)ガングリフォンのゲームにはレーダー画面が存在するが、HIGH-MACS自体はレーダーを搭載してはいない。先述のようにGPS(衛星測位システム)と、支援の戦場監視機の合成開孔レーダー(統合監視目標攻撃レーダー・システム)のリアルタイムデータを合成してモニターに表示しており、そのモニター画面を便宜上レーダー画面と呼んでいるだけである。

:ガングリフォンコンプリートファイル58ページから

…とのことだが、私から設定に関しては何も言うまい。今更語ったところで虚しいだけである。

#DLSが使えるなら、IFF感度は現状並みに低くても良いかも知れない。現状のようにDLSが使えないなら、IFF感度はもっと高い方が良いだろう。という話。

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